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年々増える世界の港のコンテナ取扱量と日本の港を解説

今や海上輸送に欠かすことのできないコンテナ。荷役・輸送を効率化することによって、より少ない時間とコストで、より多くの物品を運ぶことを実現しています。

コンテナはサイズが統一されているため、大量に積み上げることが可能です。当然ながらたくさん積んでたくさん便数を出せば、さらにコンテナ輸送の効率を上げることができます。

これを目的にコンテナ船は大型化が進み、現在では万単位のコンテナを積んだものも少なくありません。

こうなってくると、コンテナを受け入れる港側も、その取扱数は膨大になってきます。

事実、近年ではシンガポールや韓国 釜山港といった世界トップクラスのコンテナ取扱量を誇る港湾、そして日本国内の各港でも、その取扱量を過去最高に更新してきました。

とは言えコンテナ取扱量を上げるためには港湾設備が必須で、それは決して容易ではありません。

そこでこの記事では、世界の港のコンテナ取扱量を解説するとともに、我が国のコンテナ取扱量やその港湾の現状をご紹介いたします。

1. 年々増加する港湾のコンテナ取扱量

冒頭でもご紹介したように、国内外の港湾のコンテナ取扱量は年々増加の一途を辿ります。

一つのコンテナ船に積載できるコンテナ数を、TEUという単位で表します。

これはTwenty-foot Equivalent Unitの略称で、「20フィートコンテナ1個分相当の量」という意味。つまり20フィートコンテナ一つを積むと、1TEU、ということになります。なお、40フィートコンテナは20フィートコンテナ2つ分と数え、2TEUであらわされます。

現在のコンテナ船は、1万TEUのキャパシティを持つものが珍しくありません。「世界最大」のコンテナ船ともなると、2万TEU超えです。

こういった大型コンテナ船の全長は300m超えが当たり前。400mになるものもあります。

喫水(船が水上にある時、どれくらいの水深まで沈んでいるか)も深くなっていき、15m以上は必要です。ちなみにコンテナ船に限らず多くの大型船舶には「マラッカマックス」基準が考慮されています。これは、世界の航行の要所であるマラッカ海峡を通過できる船のサイズを規定したもので、同海峡に水深約23mの箇所があるため、喫水はそれよりも浅くなくてはなりません(20.5m)。でも、上記コンテナ船の喫水が15m以上あることを鑑みると、それに近づいてきているのがわかりますね。

こういった大型コンテナ船を受け入れる港湾設備を整えることは、コストも時間もかかってしまいます。

まず、大型船舶を受け入れるだけのスペースを持つこと。これは上記喫水も考慮しなくてはいけないため、水深も重要になってきます。

また、コンテナ船を受け入れる港湾を「コンテナターミナル」と呼ぶのですが、専用機器が必要です。

コンテナを船に揚げ積みする専用のガントリークレーン。コンテナを移動させるトランスファークレーンやストラドルキャリア。コンテナの搬出入や保管を行うコンテナヤード。コンテナ全体を管理・監視するゲート。また、近年では流通加工施設としての機能も備わるなど、その意義は拡大しており、コンテナ取扱量を増加させようとする港湾では、より投資が必要になってきました。

2. 世界の港のコンテナ取扱量ランキング

前項でご紹介したように、コンテナ船の受け入れには専用の、そして大規模な設備が必要となってきます。

そのためコンテナ取扱量が多い港湾というのは、それだけ設備が充実しているということ!

国土交通省港湾局が作成した、世界の港湾別コンテナ取扱個数ランキングの上位20をご紹介いたします。

①上海(中国):42,010,200TEU

②シンガポール:36,599,281TEU

③寧波-舟山(中国):26,350,800TEU

④深セン(中国):25,735,900TEU

⑤釜山(韓国):21,662,572TEU

⑥広州(中国):21,622,700TEU

⑦香港:19,596,000TEU

⑧青島(中国):19,315,400TEU

⑨ロサンゼルス/ロングビーチ(アメリカ):17,549,775TEU

⑩天津(中国):16,006,900TEU

⑪ドバイ(UAE):14,954,116TEU

⑫ロッテルダム(オランダ):14,512,661TEU

⑬ポートケラン(マレーシア):12,316,003TEU

⑭アントワープ(ベルギー):11,100,408TEU

⑮厦門(中国):10,702,300TEU

⑯高雄(台湾):10,445,726TEU

⑰大連(中国):9,767,380TEU

⑱タンジュンペレパス(マレーシア):8,960,865TEU

⑲ハンブルグ(ドイツ):8,770,000TEU

⑳京浜港(東京・横浜・川崎):8,290,252TEU

3. 日本のコンテナ取扱量と港湾設備

ランキングをご覧頂くと、上位陣のほとんどが東アジアに集中していますが、そこに日本の港湾の名前は入っておらず、東京・横浜・川崎港を合わせてようやく20位に食い込んでいる形です。

ちなみに1980年では、神戸港が世界のコンテナ取扱量第4位、東京港が第18位でした。

日本はご存知の通り、輸入大国です。特に天然資源が乏しく、原油や天然ガス、石炭などといったエネルギーのほとんどを輸入で賄っています。

また、食料自給率も決して高いとは言えません。戦後、日本では洋食が急速に普及することになりましたが、乳製品や肉を生み出す家畜の飼育には実はあまり適していないと言えます。なぜなら日本は国土が狭く、広大なスペースを必要とする家畜の飼料作物を輸入に頼らざるを得ないためです。

一方で近年では「国際競争力が落ちた」と言われるものの、輸出も活発なのが日本です。

電子部品や機器類と言った加工組み立て型製品、自動車やITなどの分野での発展が目覚ましく、世界的に見てもトップクラスに位置する輸出大国と言えます。

こういった大量の輸出入に、港湾の整備の重要性は増すばかりです。

また、港は物流のみならず、地域の経済活動の中心ともなる存在です。

例えば港湾で働く人手が求められることからたくさんの雇用が生まれたり、コンテナ船のような大型船舶が寄港し、燃料や食料を補給する、あるいはその土地を観光することで得られる利益があったり、と言った具合です。

寄港するコンテナ船が大きければ大きいほど高い経済効果が見込めます。

しかしながら日本の港湾は世界的に見て遅れていると言わざるを得ません。

コンテナ船が大型化したことで寄港地が減ったことや、多くの産業での製造工場が東南アジアに移転し、日本から必ずしも積み下ろししなくてはならない物品が減少したことなど、原因はいくつかあるでしょう。

とは言え港湾設備の充実は、ますます高まっていくばかりです。

では、日本のコンテナ取扱港湾は、どの程度あるのでしょうか。

実は2018年現在、100以上にもその数は及ぶのですが、「外国貿易」に限ると70程度に留まります。

さらに言うと2018年の全国外貿コンテナ取扱合計数は18,895,629TEUでしたが、そのほとんどが五大港に集中しています。

東京港、横浜港、名古屋港、神戸港、大阪港です。

最大は東京港で、外貿コンテナ取扱個数は4,570,795TEUでした。

第二位は神奈川県に位置する横浜港で、2,723,881TEU。三位は名古屋港で2,699,626TEU。次いで神戸港の2,219,583TEU、大阪港の2,096,015TEUが続きます。

なお、神戸港はかつて日本のトップに位置していましたが、阪神・淡路大震災の影響で一時縮小しました。それでも日本国内ではトップ5に君臨しています。

この五大港以外の港湾も含め、コンテナ港湾への投資・整備が叫ばれています。

コンテナ取扱量ではなかなか中国など大規模港湾には勝てないため、ターミナルのAI化や関税手続き面での電子化など、ソフト面を中心に改革が進められてきました。

こういった対策が功を奏してか、近年では全国各地でコンテナ取扱量が過去最高を記録するようになってきました。

とは言えまだまだ改革は始まったばかり。

日本の港湾事情から目が離せません!

4. まとめ

コンテナを十分に受け入れられる港湾設備の重要性やその経済効果。世界の港のコンテナ取扱量ランキング。そして日本のコンテナ港湾の現状や今後の課題について解説いたしました。

経済発展が進む中で、ますます海上輸送の重要性は増してきています。そしてその主役はコンテナ船であり、コンテナを受け入れるだけの度量を持った港湾であると言えますね。

貿易大国である我が国も、決して無関係ではありません。今後の動向に注目していきましょう。

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